明るいうつ病患者の休み方

失敗記録とその言い訳集(?)。パニック障害・抑うつの症状と治療法については素人知識です。

音楽が好き、ではない

syrup16gの鈍器と呼ばれるこの本を読み始めた。

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2002年から2023年まで「音楽と人」に載った彼らのインタビュー記事を1冊にまとめた本で、いま、2003年5月号の「HELL-SEE」のインタビューまで読み終わったところだ。

リアルタイムではまだsyrupのことを知らなかったし、2003年ということは私は12歳なので当然、当時の記事は読んでいなかった。

で、すごい楽しみに。「HELL-SEE」や「coup d'État」がどうやって出来たか、1曲1曲について詳しく知れると思って読み始めたのだが。

全然知りたいことが書いてない。

音楽雑誌ってこんな感じだったっけ。

五十嵐の言葉は抽象的で、曲単位の解説はおろか、アルバム全体のコンセプトについてすらまともに語られていない。

そうか。

音楽と人が彼らに行なってきたのは、作品インタビューではなくて、パーソナルインタビューだったのか。

五十嵐の思う「地獄」や「切なさ」や「生きること」については、読んでいてたしかに何となく理解できた気がする。とても曖昧だけど。

 

私は音楽編集者になりたくて、今も諦めていなくて、隙あらばミュージシャンの面々に営業したり、しているつもりだが、

この本を読んでいて、「私がやりたいのはこういうことではないな」と漠然と思った。

私が好きなのは「音楽」ではないかもしれない、とまで思った。

昔から薄々感じていたが私には「アルバム全体の世界観」とか「一貫性」みたいなものを聴き取る力が欠落していて、どうしても1曲単位でしか音楽を聴くことができない。

それって音楽編集者には致命的な欠陥だ。

私が好きなのは「曲」だった。

だからこの曲がどう生まれて、なんでこの歌詞がついて、このイントロのフレーズなのか、とかそういうことが知りたいと思う。

でも世の中の多くの人は違うらしい。音楽雑誌がそれを示している(言っても20年前の記事を読んだだけだが、たぶん今もそう)

私がなりたいのは何なんだ。

20代は仕事に追われてやりたいことを忘れてしまっているうちに過ぎ去り、

やりたいことを思い出すために会社員をやめたが、

30代のいま、やりたいことがわからなくなってきた。

辛い。