本を読んだ。
https://www.kadokawa.co.jp/product/322112000425/
(最近読む本のKADOKAWA率が高い。いい本が多くて素晴らしい。私は落ちましたけど…)
読む前は、なんて時代錯誤な…と思っていたけど、読んでみると著者のちえ丸さんの社畜生活を乗り越えていくひとつひとつの考え方が合理的で、面白かった。
しなやかな人だなあと思った。
上司に怒られることも、ノルマがキツいことも、全部を抱え込んでダメになってしまうのではなくて、
上司が鬼だという事実と、自分が仕事と向き合うこととをきちんと切り分けて考えることのできるちえ丸さんは、若いのにすごいなあと純粋に思った。
中でも心にぶっ刺さったのが、
「野球をしていたはずなのに、サッカーの上手い隣人を見て焦ってドリブルやシュートの練習を始めてしまう」
というような言葉。これはそっくり私のことだ。
他人と比べるというのはこのくらい意味のない笑える行為なんだなと痛感した。
それでも、身体を壊して正社員を辞めた身としては、手放しでこの本を面白かった!とは言えない。
私ははじめ、パニック障害になったときは、会社を恨んだ。
会社しか怒りのぶつけどころがなかった。
でも今になって思う。
常に100%の仕上がりまで詰めないと満足しなかったのは自分で、そのために朝まで会社に残ってたのも自分。
自分はここまで無理をしなくちゃ仕事をこなせない、要は自分の能力にはキャパオーバーだったことを認める強さがなかった。
いつも無理をして必死に環境や周りのレベルに食らいついているふりをしていた。
あるとき、仕事が調子に乗ってきたなと有頂天になった出鼻をくじかれた出来事があった。
(前にも書いたっけな)
私たちがチームで作る作品は、イントロがあってAメロがあってサビがあるべきだけど、あなたにサビを任せたとき、あなたは演歌を歌ってしまうの
電車の中で上司に言われて、ああ、私はこの会社に居場所がないな、と思って辞めた。
野球とサッカー。Jpopと演歌。
違った。何もかも。
じゃあ、よーし、今日からJpopを歌おう!と前向きにはなれなかった。何かがパリンと割れて元に戻らなくなってしまった。
私にしなやかさは皆無だった。
病気には突然かかったわけではないけど、この出来事が決定的だったと思うし、この出来事のおかげで会社を辞めることができた。
大好きだったから悲しかったけど、あなたが自分らしく働ける場所はここじゃないよと、教えてくれたんだった。
今はフリーランスという、自分に合った働き方を始めることができて、前より症状も落ち着き、心穏やかに過ごしている。
別に今の自分が輝いてるとは思わないし、この病気もたぶん一生治らないけど、少なくともいま、私はそんなに辛くない。
会社員時代も楽しかったなと、あの9年をときどき思い出すだけで、いいんだ。
だからちえ丸さんにも、どうかしなやかさを失いそうになったら、割れてしまう前に、逃げてほしいと思う。
このブログを読んでくれている人がもしいるなら、どうか、ドリブルやシュート練習にうつつを抜かさないで、野球に邁進しようねと、手を握って、言いたい。