何年か前の記事に、「忙殺されているうちに本当にやりたかったことを忘れてしまった、悲しい」と書いた(気がする)。
その恨めしい気持ちは消えた。
今は「本当にやりたいことが変わった」というのが実感だ。
変わったというか、社会人10年目を超えて、ようやく見えてきたというべきか。
自分で思っていた「得意なこと」なんて、大して得意でもなかったし、思いもかけないことでも一生懸命続けていたら、気がついたら得意になっていたこともある。
まず自分は文章を書くジャーナリストになりたい、なれると思っていたが、今は全然そう思わない。
今は、文章は文章のプロに任せたい、と思う。
次に、自分に視覚的クリエイティブな持ち味があるとは想像もしていなかったが、今の職では間違いなくビジュアル作りが自分の強みになっている。
10年前はまったくできなかったことを、10年かけてできるようになって、得意にまでなった。
人間、生まれ持った才能うんぬんよりも「最近どの筋肉を使っているか」に過ぎないと考えるようになった。
英語ばっかり勉強してた頃の筋肉の使い方を続けていたら、英語教師にでもなっていたかもしれない。
ピアノを弾き続けた大学4年間のように指と耳の筋肉を使い続けていたら、もしかしたらミュージシャンになれたかも。
ここ10年で自分は、ビジュアル的クリエイティブの筋肉をこつこつと使い続けた。
ただそれだけのことだ。
この筋肉を自分は気に入っているし、今の仕事にもぴったりなので、この道をしばらくは極めていきたいと思う。
そして、今の仕事柄、「餅は餅屋」精神が自分の中で確立したのも、とてもよい。
今、それが一番得意な人にそれを任せることの素晴らしさ。
脳みそはひとつより複数の方がずっといいことも学んだ。
そう考えたら、これからの人生、もし別の筋肉を使いたくなったら、何にだってなれる気がしてきた。