明るいうつ病患者の休み方

失敗記録とその言い訳集(?)。パニック障害・抑うつの症状と治療法については素人知識です。

一生分眠った結果

前回の通院で即日、診断書をもらい、その足で職場に提出して休みに入ったので、一昨日の通院が約1か月ぶりの外出だった。

通っている病院は築地にある有名な巨大病院で、初めて行った時は「アミューズメント感あるな」と思った。
スタバ併設、レストラン併設、コンビニ併設で、
来院時の受付も支払いも全自動。システマティック!

こんな大きな病院に通うことはこれまでもこれからも恐らくないだろう。
駅からの道のり(3歩歩くごとに調剤薬局がある)も含めて、月に一度の通院はけっこう好きなイベントである。

 

休職中の1か月弱、文字通り廃人のような生活をしていた。

診断書をもらった時は、「職場に申し訳ない」という思い半分と、
本当に失礼な話だが、少しだけワクワクしていた。

だって1か月間何もすることがないなんて、物心ついて初めての経験だったから。

今日から自由だ!
もう締め切りにうなされることもない!

1か月もある、何して過ごそうかあれこれ考えていると、なぜか猛烈に塗り絵をしたくなり、
帰宅途中のダイソーで色鉛筆を買って、「ぐっすり眠れる塗り絵」なる本を買ったりした。
ものの、
1か月間で塗った時間といえば、のべ20分くらいなものだろう。そんな暇はなかった。

暇なんだけど、何もしたくない。何もできない日々だった。
空腹で目が覚めても、ベッドから起き上がる気力もなくて1~2食は平気で飛ばしていた。
好きなことして過ごそう、と決めたからにはピアノでも弾けばいいのに、ケースにすら触らずに終わった。
ようやくここ1週間ほど、本を読んだりのインプットが少しずつできるようになったくらいで、
それまでは「NAVERまとめ」以上の情報単位を脳が受け付けることができなかった。
テレビもほとんど見なかった。

 

とにかく眠った。一生分眠ったという感覚がある。

これまでの人生で自分が睡眠だと思っていたのは、睡眠ではなかった。
あれは気絶だったな、と思った。

ゆっくりと布団に入って好きなアロマを焚いて、考え事をしたり色々あったが、
「眠りに落ちる」「目が覚める」「身体を起こす」
という一連の動作を、初めて自分の意志で、時間に追われることなく、身体と精神に鞭打つことなく、有機的な感覚をもって行うことができた1か月だった。

 

元々6月から復帰するつもりで休職に入ったので、今回の通院で先生に復職許可をもらうつもりではあった。

ただ、前の記事に書いたように「睡眠のコントロールができない」という不安がぬぐえないのは事実だったので、
まぁ焦らず先生にじっくり相談するか…と思いながら、病院に出かける支度をしていた。

通院日の朝。電車に乗るのが少し不安で、安定剤を早めに飲んだ。

1か月ぶりに、外に出るための服を選んだ。
薄いメイクをしたのも1か月ぶり。

すっかり伸びた髪に1か月ぶりのヘアオイルを伸ばした瞬間に、脳の何かがスパークする感覚があった。

なぜだか分からないけど、ヘアオイルの匂いをかいだ瞬間に"社会に参加していた自分"の人格が突如蘇ってきて、
「働きたい!!」という気持ちが猛烈に芽生えた。

 

そのヘアオイル・ハイのまま先生に会い、勢いに任せて「復帰したいです!」と発していた。

先生は驚いていた。

どうやら医師先生の立場では、患者が復職して最初の1か月がもっとも用心が必要な期間と考えているそうで、

「あなたさんの意欲や気合は素晴らしいし、しっかり休んでいただいて経過良好なのもとてもいいことですが、身体は思うようには動きませんから、くれぐれも少しずつ仕事復帰してください」

何でも
・朝、起きることができる
・通勤電車に乗ることができる
・職場に到着して午前中いっぱい、パブリックスぺースに身をおくことができる

この3つをクリアできるかが、抑うつから職場復職する人の最初の指標になるらしい。

まじかよ!
そんなレベルからやり直すのか、と拍子抜けした。

ぶっちゃけ休職中もベッドの中でちょいちょい仕事はしていたし、
ヘアオイル・ハイによってやる気がギンギンに漲っていたので、
先生の話を聞かなければ、危うく復帰早々無理をしてしまうところだった。

診断書にも「環境調整を要する」と書いてもらった。

それでも、復職していいですよと言ってもらったことには変わりない!
自分でも不思議なくらい、嬉しかった。

あんなに休みたくて仕方なかったのに、久しぶりに外に出て、"外仕様"の自分に久しぶりに着替えただけで、
こんなにも労働意欲が湧いてくるなんて。

1か月の休養の効果は絶大だった。
本当に本当に、休職してよかったと思う。

 

病院を出て、イヤホンで最初に聴いたのはこの曲だった。

自分のライブラリ内でもっとも、穏やかで、ポジティブで、楽しげで、等身大の希望を感じる曲。
今日という1日をどう過ごすか、自由に決めていいんだという、当たり前の新しい感覚に感動した。
雨の降る中を、この曲を歌いながら会社まで歩いた。1か月ぶりのブーツで靴擦れした。

 

会社に着いてみると、上司や同僚何人かに会うことができた。
なぜか胸のうちから温かいものが込み上げてきて、全員にハグしそうになったけどやめた。(physical distance)

元の自分に戻れた、かもしれない!

それが嬉しくて嬉しくて、仕方なかった。

先生はまだ油断禁物というけれど、
働きたい、みんなの役に立ちたい!という、ここ数年一度も思ったことのなかった心情になった自分に驚き、誇らしくなった。

 

本当に休職してよかった。
明日から復帰します。