11/4(木)、14年ぶり!に、syrup16gのライブを見に行った。
syrupはなぜかどうにも見に行くタイミングがなく、初めて見たのが武道館の解散ライブだった。今回はそれぶり。
高3の春だったか、大人たちに嘘をついて予備校をさぼって武道館に行った。
武道館の廊下で木下理樹さんに遭遇して一言くらい話したのも覚えている。
今回は真新しい東京ガーデンシアター。MCで五十嵐隆チャン
「本当に僕は外界と接点のない生活を送っているんですよ…。中畑とスタジオ入ったりしても、昔から何の進歩もしていなくて…なんか昔の自分が歌っているような、不思議な感覚になります」
だって。
その言葉がそっくり自分にも当てはまってしまうので、14年前から何も変わっていない自分は感慨に浸るに浸れなかった。
今日はライブ本編まるっと全曲新曲、名付けて「秋の新曲祭り」という前衛的な構成だったけれど、
驚いたことに(失礼!)その新曲がどれも、素晴らしかった。
そして演奏が上手い。五十嵐ちゃん、ギター弾けてるやん(弾けてたよ〜)
なぜそんなことを思ったかというと、
私の中でsyrup16gはラストアルバムと、解散武道館のライブレポート(JAPANだかMUSICAだか音楽と人か、忘れた)で読んだ、リハの開演ギリギリまで「She was Beautiful」の
ソファソ ソファソ レミソラソ…
という単音のリフを五十嵐ちゃんがずっと一人練習していたという、記憶というか想像上の残像で止まっている。
ラストアルバムは正直全然好きではない。
もう限界なんです!もうできません!さよなら!というメッセージが込められまくったアルバムだと私は思っている。あの作品が最後でそりゃあ解散したくもなるわな、と察して余りある駄作(ごめん)。
で、五十嵐ちゃんはギターが弾けない。
そんなイメージで止まっていたから、14年ぶりに見た演奏には素直に感動した。
MCでも言っていた「丁寧な演奏」がとても、よかった。届いた。歌もすごく上手い。
14年前から何も変わっていない自分だけど、唯一変化があったとしたら、精神疾患にかかったことくらい。
それで五十嵐ちゃんへの見方も随分変わったし、尊敬したし、ますますsyrupに傾倒した時期もあった。
一昨日見た五十嵐ちゃんはとても、調子がよさそうで、楽しそうで、人間らしかったので見ていて嬉しかった。
1曲終わるごとにとても丁寧な「ありがとうございます」があり、
「みんな椅子座ってる!? よかった~」と客を心配したり、なんというか演者らしい真摯な感じがして嬉しかった。
しばらく「元気そうでよかった」とぼーっとステージを眺め、段々とそれを通り越して、今日休まずちゃんと会場に来てやりきった彼を何だか抱きしめたいような気持ちになった。
syrup16gは、普段はまったく聴かない。具合が悪くなるから。
DVDも、2枚ほど家にあるだけで、たぶん開封すらしてない。見たら具合が悪くなるから。
ただライブ後(正確には、代表曲連発のアンコール後)、さすがに聴きたくなって、シャッフルで聴きながら帰った。
するとさっきまで見て聴いていたのとまるで別物みたいな、とても繊細な音楽だった。
忘れていた。先ほど演奏について褒めた言葉をそっくり撤回したくなった。
この人たちの音楽はロックだけれど、ロックである前にもっと繊細だったじゃん。ロックだけで乗り切ろうとすな(笑)。
それでも目の前であのように演奏されると、手放しに素晴らしかったと言いたくなるほどの迫力と、なにか真心みたいなものを感じたのは確かだった。
アンコール1曲目にやった「希望」という曲が私は大好きで、なぜか半音高く演奏していた(聞き覚えがあったからもしかしたら14年前もそうだったのかもしれない)この曲の、
少し頭冷やして考えて 簡単なこと
という歌詞がいつまでも頭の中を回っている。
これのどこが希望なのか全然分からない。それが彼ららしくて好き。
追記:
東京ガーデンシアターめちゃくちゃデカくてメンバー3人、豆粒みたいだった。その遠さが少しだけ武道館と重なった